生理痛でお悩みの方へ
生理痛は多くの女性が経験する症状ですが、がまんするものではありません。適切に治療し、痛みの緩和に効果的な習慣を日々の生活に取り入れることで、軽減できます。
また、「生理中だから仕方がない」と思いがちな痛みや憂鬱な症状が、思いがけない疾患のサインである可能性もあります。
ここでは、診察時にお聞きしている症状、具体的な治療法、潜在的なリスクについてご紹介します。ぜひ自己チェックや受診の参考にしてみてください。
月経(生理)期間の主な症状
個人差がありますが、月経中には一般的に以下のような症状がみられます。
- 下腹部の鈍痛や刺すような痛み
- 腰痛
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐
- だるさや疲労感
- イライラしたり、気分が落ち込む
セルフチェックリスト
以下の項目に1つでも当てはまる場合は、生理痛が重度である、あるいは婦人科疾患である可能性があります。婦人科の早期受診を検討しましょう。
- 生理のたびに鎮痛剤が欠かせない(毎回1日以上服用している)
- 痛みで寝込んでしまう、または学校や仕事を休むことがある
- 年齢が進むにつれて月経痛がひどくなっている
- 経血量はそれほど多くないが生理痛が強い
- 以前より経血量が増えたり、血の塊が出るなど
- 性交時に痛みや違和感を感じる
- 排便痛や便意をもよおした時の違和感を感じる
- 月経時以外に下腹部痛や腰痛がある
- 月経前にイライラや気分の落ち込みが激しい(PMS:月経前症候群)
- 月経期間が終わっても慢性的な痛みがある
考えられる婦人科疾患
生理痛が重度の場合、以下のような疾患の可能性があります。
子宮内膜症
子宮内膜組織が子宮外で増殖する病気です。
主な症状は:
- 生理痛
- 性交痛
- 排便痛
- 不妊
子宮内膜症は、生殖年齢女性の約10%に発症するとされています。
子宮腺筋症
子宮内膜が子宮筋層内に侵入する病気です。
主な症状は:
- 激しい生理痛
- 経血量の増加
- 子宮の腫大
子宮筋腫
子宮の筋層にできる良性腫瘍です。
主な症状は:
- 経血量の増加
- 下腹部の圧迫感
- 頻尿
これらの疾患は早期発見・早期治療が重要です。
特に注意していただきたいことに、子宮内膜症がある方の約12%には生理痛がないというデータもあります。
生理痛がないor軽い、職場検診等を受けているから大丈夫!と安心してしまわず、かかりつけ医を持ち、婦人科にかかることを習慣づけてください。
生理痛の治療
主な治療法には以下のようなものがあります。
※(患者さんそれぞれの症状の程度や体質、原因などによって異なります)
服薬等による治療
鎮痛剤
市販の鎮痛剤、または医療機関で処方できます。
ホルモン療法
- 排卵を抑制し、子宮内膜の肥厚を防ぎます。
- 一定期間、月経を止め、病巣を縮小させます。
漢方薬
- 当帰芍薬散や桂枝茯苓丸などが用いられます。
- 体質改善や血行促進の効果があります。
手術療法
生理痛の原因が、重度の子宮内膜症や子宮腺筋症、それに伴う不妊症などの場合、腹腔鏡下手術を行なうことがあります。
生理痛を和らげる!日々の生活でできること
日々の生活でちょっとした習慣を取り入れたり、改善してみることも生理痛の軽減に効果的です。
食事
- バランスの良い食事を心がける
- カフェインや塩分、糖分の過剰摂取を避ける
- 過度のアルコールを控える
ストレス管理
- 十分な睡眠をとる
- 質の良い睡眠は、ホルモンバランスの調整に重要です。
温めケア
- 冷えを防ぐ
- 体を冷やさない服装(特に下腹部)に、靴下も着用しましょう。
- 寒い季節だけでなく、一年を通じて気をつけましょう。
- 入浴やシャワーで体を温める
- 特に下腹部や腰を温めることで、血行が促進され痛みが和らぐこともあります。
こうした生活習慣の改善や治療を継続的に行うことで、生理痛の軽減が期待できます。ただし、症状が重度の場合や改善しない場合は、必ず医療機関を受診してください。生理痛はがまんするものではありません。ご自身に最適な改善策を見つけていきましょう。
知識や教養を身につけるのと同じように、“健康にも自己投資!”